本日2015年7月10日(本記事作成時点、以下同様)に、株式会社KADOKAWA「アスキー・メディアワークス」ブランド「電撃文庫」レーベルより刊行・発売された、(以下、敬称略)著者:蒼山サグ・イラスト:てぃんくる「ロウきゅーぶ! 15」を簡単な感想と共にご紹介をさせて頂きます。本記事は、レビューと呼べる程の質ではありませんが、本作品のご購入を検討されていた方のお役に立てば幸いです。
(以下、文中の『』は引用箇所となります)

 

第13巻の後書きで、本編は終幕と言ったな。あれはUs……。

上の太字の中見出しは私が勝手に言っているだけで、著者が述べた事ではありませんが、第13巻の巻末後書きにて、著者は『本編はこの辺でひとまずの終幕とさせて頂くことにいたします。ここまでお付き合い下さり、本当にありがとうございました』と書き添えられており、「電撃文庫」レーベルとしての事前告知も全く無かった為に、ファンの方の中には突然の終了宣言に驚きと共に口惜しさを感じた方もいらっしゃった事と思います。同時に『本編終了とは言いつつ、あともう少しだけこのタイトルの続巻も出していくつもりですので、今後ともお付き合い頂ければとても嬉しく思います』との記載から続巻発売を心待ちにし、実際に13巻までに収録しきれなかった「電撃文庫MAGAZINE」掲載済み短編4話に新規1話を加えた短編集三冊目となる第14巻も発売されています。
そして、本日発売された第15巻にて完結である旨「電撃文庫」より事前告知がなされ、著者も原作としてはこれにて最終巻である旨を告知されています。著者は第15巻の後書きにてA『僕の勝手な都合でこの物語の終末を描くことも、僕の勝手な都合でこの物語を不必要に継ぎ足すこともしたくありませんでした』、またB『5の数で区切りを付けたかった』とも述べられています。

第15巻後書きから先に読むと「?」である。

私は、まず後書きから先に読む癖がある為、著者のこのAとBの矛盾した意思に対し、お前は何を言っているんだと(失礼)笑いながら上の太字の中見出しを付けたわけですが、第15巻本編を読み終わり、第13巻に対する第15巻の位置付けを把握し、何故閉店セールの如く、終了と宣言済みの作品が再び完結編として発行されたかについては理解いたました。もっとも、幾ら物語が小学生5人がメインだからといって、そこまで5という数字に固執する必要性については、私には理解も共感も出来ませんでしたが作者の強い思い入れという事なのでしょう。

 

第15巻ストーリー概要 本作品にはロリ分が必要なのです。

公式サイトのあらすじも参考にして頂ければと思いますが、私なりに概要を要約いたしますと、作品中の時期で言えば、第15巻は智花達が小学校卒業をまじかに控えた六年生の2月。商店街に新規オープンしたうどん屋の主人繋がりで、香川県の全国大会出場チームと智花達6年生チーム5人は合同合宿という運びとなった。
高松空港に着くと、相手チームの監督と小学生離れした長躯と薄らとメイクした端正な顔立ち、煌びやかな指輪等の装飾品を身につけ、言わなければ都心の高校生でもまかり通る二人、東川灯と松島佑奈に迎えられる。監督に挨拶を促されるも『……うっさいなもう。』という横柄な態度。智花達は早速挨拶を交わすが、二人は『あー、いーよ挨拶とか、どーせ覚えないし』『ちっさいねー』と失礼な態度で返すも、昴に対してだけは微笑を湛えながら上目使いで挨拶をする。慧心の5人は色々な意味で二人に警戒心と不信感が募る。
本場のうどんを食した後、早速合同練習へ。坂道トレーニングでは灯と佑奈は足を挫いた演技をし、昴に肩を貸して貰い、密着する。両肩に二人を抱きかかえる様子を見た慧心の5人は……。更に挑発する二人。
体育館に戻り、ミニゲームをする運びとなったが、灯と佑奈はやる気こそ無いが、地力が非常に高い上に巧みにファールを誘い、言葉で慧心の5人の精神を翻弄し、5人は冷静さを欠いていく。一方的な展開に、このまま続けても圧勝する為、もう飽きたとゲーム途中で投げ出し、更衣室に向かう灯と佑奈の二人。このまま途中で試合を打ち切られては、慧心の5人の今後に悪影響が出ると危惧した昴は、二人にゲームの続行を懇願する。慧心の5人を嘲笑し、はじめはゲームの継続は断るものの、試合に勝ったら昴が大人のデートに付き合う事を条件に合宿最終日に再度試合をする事に。
時間も無く、対抗策に悩む昴。慧心の5人は、かつて経験した事が無い巧みなファールトラップに対し、どのように挑むのか―。

この続きは、実際にご自身で本書を手にしてご確認下さいね。

 

ところで、善し悪しはともかく、「ロウきゅーぶ!」と言えば、シナリオに散りばめられた、お前らロリコン向け合法サービスシーンである。
本作品では、大まかには巻の冒頭部分の掴みとしてロリ描写をまず挿入して読者を引き込み、ストーリー途中に幾つかロリ描写を埋め込むという形をパターン化してきましたが、第15巻もほぼ同様の構成をとっています。例えば、冒頭でこそありませんが、物語開始早々、香川に向かう飛行機の中で、気流の乱れから機体が激しく揺れ、たまらず昴の右腕にしがみつく愛莉。機体の揺れと連動し、肘に押し付けられる愛莉の胸からの圧力が……。反対側の席の智花も激しい揺れで顔面蒼白。落ち着かせる為に愛莉と同様に左手を差し出すと、智花は前屈みの姿勢で左腕全体にしがみつく。昴の左手首に伝わる熱。智花は怖さのあまり、スカートの中の生足の付け根付近で昴の掌をホ-ルドしてしまう。機体の上下の揺れに―

『はぁ……はぁ……は、長谷川さあんっ……』
『昴さん……昴さんっ……』

もし、この愛莉と智花のセリフが卑猥に聞こえるならば、それは貴方の心が薄汚れているか、真正のロリコン変態野郎だからである。
結果として、例え昴の掌が智花の大事な部分にあり、機体の激しい揺れで上下に運動をしていても、昴の優しさから差し出した手に罪は無い。

また、話は端折りますが、ファールトラップ対抗策を練っている昴が、ひなたに素足で踏んでもらいもらいたいと要請し、ミニスカートに黒タイツのひなたは快諾。早速タイツを脱ぎ、昴の背中を踏む。俺はうどんだと昴は雑念を払い、対抗策の為、力の入れ加減や脱力ポイント等の感覚を掴む事に集中する。そして更に顔を踏むように依頼、快く受けたひなたは昴の顔をふみふみ。明確に感覚を掴んだ昴はこの悦びを全員と共有したいと思い、そこに丁度5人+ミホ姉が帰ってくる。昴のほほにひなたの素足が喰い込んだままの格好で。青筋を浮かべたミホ姉は床に落ちていた黒タイツ指さす。そのタイツの中にはいちご柄の白い布が―。

ロウきゅーぶ15 挿絵サンプル

このノーパン状態で顔を踏まれる描写に対し、もし、貴方が邪な事を少しでも想像したのならば、それはやはり貴方の心が薄汚いからである。まして興奮したというならば、警察に通報せざるを得ないな。俺に近づかないでくれ、キモいから。

 

 

 

結論 第15巻は完結編では無く後日談である。

ニュアンスの違いと言ってしまえばそれまでではありますが、なまじ「電撃文庫」の事前告知が”完結編”と謳われていた為にその言葉の印象に引きづられてしまい、この第15巻が本作品の終着地点であり、完結巻なのであろうという前提で購入いたしましたが、全てを読み終えた後、それは間違いである事に気が付きました。
端的に言えば、これは著者の第13巻での後書きが正しく、第13巻で既に本編は終了しており、物語としては第13巻にて完結済みなのであるという事です。そしてこの第15巻が「電撃文庫」より刊行されるライトノベル「ロウきゅーぶ!」の最終巻であり、本編終了後の云わば後日談であるという事です。
終了させた筈の物語が、何故新たに丸ごと一冊に収められて刊行されたのかという事に対し、第13巻に対する第15巻の位置付けをこのように後日談であると規定する事で、私はすんなりと受け入れられました。

著者は第15巻後書きで心の内を吐露しており、あくまでも私の想像ですが本作品への思い入れや続話を書き続けるという生みの苦しみ、迷い、葛藤などが伝わってきました。一読者として2009年2月発売日当日に第1巻を購入してより本作品に魅せられ、文句を垂れつつも全巻購入し続けた私も感慨深いものがあります。本として出版されず、文字として世に出ずとも、これからも昴や慧心の5人を中心とした物語はファンの心の中で続いていきます。著者に対する労いはもちろん、本作品に関わったイラストレーターや出版社の方に対しても、私は面白い作品を提供して下さった事を感謝いたします。

 

「ロウきゅーぶ!」という作品全体を振返り思う事。

アニメ化されTV放送がされた為に、今更本作品を知らないという方は稀だとは思いますが、原作が完全に終了した事もありますので、本作品全体を振返ってみたいと思います。

旧ブログサイトでも本作品について、2010年に一度取り上げた事がありますので、その記事と重複する箇所もありますが、本作品の全体概要としては、第1巻の導入部にて、主人公 長谷川昴 がバスケ特待生として高校に入学して早々、仮入部して間もないバスケット部の部長と部の顧問教師の一人娘(11歳)との恋仲が発覚した事によりバスケ部は謹慎一年間という重い処分を受けます。バスケ一筋に打ち込んできた主人公は腐り、バスケ自体に掛ける情熱すら失いかけますが、そのような折に小学校教師である叔母(と言っても23歳)から選りにも選って小学校の女子バスの臨時コーチを半ば強引に就任させられる、というところから物語が動き出します。
第2巻以降は、小説冒頭はロリコン物かと誤解されかねない“掴み”から入るという形がパターン化しており、また、発刊を重ねる毎にロリ描写が増していきますが、少なくとも第1巻の小説の内容はスポーツコメディ(バスケに対して真摯に打ち込む登場人物達の描写は、スポーツ物と言えなくも無い)作品で、出版社の売り文句は「さわやかローリング・スポコメディ」です。
声がデカいファンに迎合したのか編集者の意向かはわかりませんが、巻数を重ねる毎に増え続けた過剰なロリ描写は、むしろ本作品が持つ本来の魅力を妨げています。物語の展開を膨らまし、スパイスとしてロリ描写が適度に加えられている程度には良いのですが、巻によっては思わず「バスケをして下さい」と言いたくなる程過剰に挿入されたものもあり、この辺はもう少し何とかならなかったのかと思わずにはいられません。

ライトノベルはそのカテゴリー名称が表す通り、軽い読み物でありエンターテイメント色が強く、作品に高尚なものを求められても困りますし、深い物などありません。そんなライトノベルにあって、本作品の魅力を列挙すれば複数提示できますが、私に本作品の最大の魅力は何だったのか問われれば、やはり、第1巻での直向きにバスケに打ち込む登場人物達の描写と智花に対する庇護欲を搔き立てられた事だったと私は答えます。
ロリコンについて論じるつもりはありませんが、恐らく誰しもが、汚れを知らず、純粋でか弱く、幼い存在というものに対する庇護欲を大なり小なり持っており、我々の遺伝子に組み込まれているのでしよう。それが作品の魅力の一つになっている事は事実です。

割と乱暴な自論ですが、一部を除き、大抵のライトノベルは第1巻が最大値で面白く、巻を重ねる毎につまらなくなる作品が多いので、本作品にはそのようになってほしくはありませんでしたが、振返れば、やはり本作品も第1巻がMAXだったかなぁとも思います。それでも失礼を承知で申し上げれば、掴みや出版社の販促こそあざといものの、オーソドックスなストーリー構成の上に平易な文章の為、読み易いライトノベルであり、各巻とも面白さは一定レベルが保たれていた為、最後まで購入し続けられました。
面白い作品を世に出して頂いた事に対し、著者をはじめ関係者全員に重ねて感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 


 

□株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス「電撃文庫」
http://dengekibunko.dengeki.com/

 

※本ページ掲載内容の概要並びに画像は、2015年7月10日発売、株式会社KADOKAWA発行「ロウきゅーぶ! 15」(JAN/ISBN:9784048651929)より引用させて頂いております。

© KADOKAWA CORPORATION 2015 © 2015 SAGU AOYAMA